第4章

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第4章

「ほしいって言ったのは、あたしだし。その手を離さなかったのも、あたし。 駄々こねたのも、あたしだよ?」 布団の上。かたくなにむけられた背中に呟く。 「そんなことして、何か意味あるの?」 この言葉の半分も伝わってないだろう。 あたしが一言。 やめた…って言えば、この関係も、終わる。 初めから、ダメだって言い続けていたじゃない。 しがみついてるのは、あたし。 わがまま言ってるのも、あたし。 あふれそうになる涙を止めて。 もう泣くのは、卑怯だ。 散々泣いたじゃない。 困らせたじゃない。 これ以上は 望んじゃダメだ。 「オレ言ったよな。満足してねぇ、って。ここまでイカせねぇ、ってコトは、相当どへたか…。 オレのこと キライってことだろ?」 そうだったら…。 どれだけ、あたしは楽になれるだろう。 ちゃんとしたい… …うまくいかない。 ちゃんとできないのも、あたし。 あたしは 気づかれないよう そっと涙をぬぐい、毛布にしがみついた。 淋しい。 深いため息が耳に届く。 「イカせるつもり ないんだろ…」 あたしが一言 うんって言えば、楽にさせてあげられる? わかっていながら、頷けない。 「オレに浮気させたいんだろ」 そんな訳ない。 そんな訳ないけど、イヤだよ。 …でも、それもあたしのワガママ。 まだまだ 遊びたい歳だよ。 27まで遊びまくるって、言ってたんだよ。 「何とか言えよ。今度は無視か…」 遊んで来ていいよ…。 それで いいなら、あたしはいいよ…。 …淋しいけど。 いいよ…。
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