第5章

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第5章

朝4時。 ユウキはふと目覚めた。 日の出少し前、薄明かりの中。 部屋のパソコンが ぼんやり光っていた。 そっと 手をのばす。 冷たい布団だけがあった。 しゃきっと目が覚める。 ユウキはとりあえず トイレに行き、1階へ下りた。 お茶を一杯飲み干す。 そっとカーテンをめくる。窓の外、あるはずの車がなかった。 …あたしのせいだ。 前の日も。 やっぱり、ダメだった。 それも。12時くらいに眠くなっていた。 「また、途中でやめるんか…」 寝ぼけ眼で、見つめ返す。 「そんな眠いなら、寝ればっ」 「やる気ないなら、最初から そう言えよ」 「中途半端で やめるな… 全く 家でも仕事でもストレスたまるわっ。オレを自殺させたいんか…」 5時少し前。 朝日が差し始めた。 蝉の声。 そろそろ 他の人が起きて来る。 ユウキは部屋に戻り、布団へ潜り込んだ。 その時、車の音。 漏れ聞こえる音楽。 側溝のフタが ガランとなって。 ユウキは息をひそめた。 やがて 玄関のドアが開く音。 階段がきしむ音。 部屋のドアが開き、そっと布団にもぐりこむ気配。 不意に、耳に息。タバコとポテチの交ざった。 唇をぺろりと舐められ、抱き寄せる腕。
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