第6章

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第6章

7月30日。 早く 帰って来るはずなのに、帰って来ない。 今日は、土用の丑の日。ウナギが用意されていた。 今週は忙しいって、言ってたけど… 10時半過ぎに帰って来て、愚痴る。急にお仕事が増えて、大変だったって。 膝枕して。あたしは作ってって言われた甚平を作りながら。 髪を撫でる。 でもね。 半分、ウソだって 気づいてた… カラオケのレシート。 8時半から 10時半まで。利用は2人。 追求しない。 聞いても仕方ないもの。 ため息を飲み込む。ため息一つつくと、しあわせが ひとつ逃げて行くんだって…。 黙って、うんって頷いて。大変だったねって。 静かに、微笑む。 「今度の水曜、夜 大丈夫っ?」 「普通に仕事終わるし。大丈夫…だけど、何かあるの?」 「メシ食いに行かねぇ?」 「うん」 言いながら、あたしはやっぱりちょっと複雑な気持ち。 何かあった後は優しい… 決まって。 『他で発散してくる』 そう言ったのは、相手。頷いたのは、あたし。 淋しいけど…、仕方ない。 ワガママ言わない…花火行きたいって、あたし言ったけど、ホントは邪魔くさいんだろうなぁ。 ひとごみはキライって言ってたし。
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