始まりの音

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それなりに賑わう学食に着くと俺達は食べる物を決めテキトーに空いている席に腰を下ろした。 さすが成長期。朝を抜いただけなのに腹の減りがハンパない。 「よく食べるねぇ」 着席して早々ラーメン大盛をがっつく俺を見て知哉は言った。 「そうか?」 「うん、だって毎回だよ僕頼んだことないもん大盛なんて」 「お前が少食なだけだろ若い内は食わないと成長できないぞ」 「ぷぅ…それって僕がちっちゃいって言いたいの?酷いよ」 うどんを啜りながら知哉はぷくぅと頬を膨らます。ウルウルした目がなんとも可愛いらしい。 「はは冗談だ、拗ねるなって」 俺は知哉の頭に手を置く。 「ほら子供扱いする」 より一層頬を膨らませ怒る知哉。子供扱いするなと言うが… 「お前それ」 「何?」 「俺の母性本能をくすぐる」 「……」 俺の一言に知哉はジト目になった。それから数秒の間が空いて、 「意味分かんない」 「すまん」 自分で言って意味不明だった。
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