始まりの音

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昼。現実に気付かされた俺。ちょっぴりブルーになりがなら午後の授業に聞き耳を立てていた。 まぁ出だしから躓いた高校生活。聞いても内容など意味不明。 教師の言ってること黒板の奇々怪々な文字。さっぱり分からん。 来週からテストだと? 「完全に忘れてた」 一応知哉からノートを借りることになったが自信はからきしない。元から頭は良くないんだ。 「はぁ」 俺は心底憂鬱な気分でため息を吐き、ふと窓の外に目を向けた。 「ん?あれは…」 校庭に体操着姿の女子。その中に隣のクラスの瑞稀が見えた。 この夏に差し掛かった蒸し暑い炎天下の中。ご苦労なことに必死でグラウンドを走っている。 俺は机に頬杖を付き、ただぼんやりと瑞稀の姿を目で追った。 一定のペース。仲のいいグループに固まってグラウンドを走る。 基礎体力の向上が狙いなのか。最終的に決まった周回させ守れば教師は何も言わないようだ。 瑞稀は隣の友達に話しかけられ額の汗を拭うとニコリと笑った。
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