始まりの音

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まぁ気を取り直して俺は教室の時計を見た。既に六時を回っている。授業終了が五時だから… えーと俺は一時間以上も無駄に寝てた訳か。うわぁ勿体ねぇ。 気付けば回りには誰もいない。さっさと帰るか。支度をする。 ん、あれ? そこで俺は一つ疑問を抱いた。 「知哉は何で帰ってないんだ?お前俺と同じで帰宅部だろ」 誰もいない教室で一人律儀に俺の支度を待っていてくれる知哉。もしかしたら俺の為に… なんてちょっと感動してると。 「あぁうん今日僕日直だったからね、さっき日誌を提出してきたんだ、そしたら用事を頼まれて気付いたらこんな時間に…」 まぁうん。人生そんなもんだ。少し期待した俺が馬鹿だった。 一時間も俺だけの為に待っていてくれる奴なんて早々いない。 俺は目に滲む汗を拭った。 「どしたの?久君」 「ん、いや何でもねぇ」 「そう?なら帰ろう僕手伝いで動いたからお腹空いちゃった」 知哉の無邪気な笑顔に元気を貰い俺達は鞄を手に教室を出た。
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