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ドカッ――
まぁ放課後だからという過信もあったんだろう。よそ見をしていた。そのせいで俺は教室を出て誰かと正面からぶつかった。
「きゃ!」
目の前にいた女の子が声を上げる。不意にバランスを崩した。
「危ねッ」
俺は倒れそうになる女の子の手を掴む。ギリギリ間に合った。
何とか支えることに成功しホッと一息付く。すると目の前の女の子がいきなり頭を下げた。
「ごめんなさいッ、私が俯いて歩いてたから本当ごめんなさい」
必死に何度も謝罪の言葉を述べる。俺は凄い罪悪感を覚えた。
「いや俺の方こそ…」
誰もいないと思って油断してた。俺は謝りながら女の子を見る。
茶の入った栗色の髪。それが肩下まで伸びている。顔は前髪に隠れて見えない。でも全体的にふんわりしたイメージの子だ。
ってアレ?この子確か…
「澄田(スミタ)さん?」
その時、俺の後ろにいた知哉がひょっこり顔を出し今だ謝り続ける女の子に向かって言った。
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