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俺が通っている学校は家から歩いて15分と程よい場所にある。
だからもう少し寝てられる筈なのだが。瑞稀はそれを許さない。
授業が始まる30分も前に学校着いて何の意味があるんだか…
「なぁ瑞稀、もう少し家出んの遅くしないか?俺だって朝飯くらい食って学校行きたいぞ」
切実だ。一日の元気は朝飯からやってくるのだよ。瑞稀くん。
「お昼まで我慢しなさい」
「無理言うな」
お前はしっかり食ってるからいいだろうが。毎朝引きずられて家出る俺の身にもなってみろ。
ホント身が持たん。
「いいじゃないお昼が美味しく食べられると思えば… 一食抜いた後のご飯は最高でしょ」
「その前の授業が最悪なんですけどね、腹鳴って集中できん」
「もう!どうせ真面目になんて聞いてないでしょ偉そうに…」
「なッ、それお前にだけは言われたくねぇよ、一番前の席陣取って爆睡してる眠り姫にはよ!」
「なんですって?私はただ時間を有効に活用してるだけよ」
瑞稀はキーキー喚く。俺も根は負けず嫌いなもんだから対抗して、喧嘩は毎朝エンドレスで続く。
「ガキ!」
「うるせぇ万年小学生体型!」
「あ!今馬鹿にしたわね、私の最大の悩み!サンクチュアリに土足で踏み込んだわよ久則ッ」
覚えとけ!と小さなツインテールを揺らし追い掛けてくる瑞稀。本気で小学生にしか見えない。
俺はそんな奴から全力で距離を取り、日頃の怨みを清算する。
「遅いぞ、チビ瑞稀」
「うっさい馬鹿久則!本気で覚悟しときなさいよ、放課後ギタギタにしてやるから!!」
「怖ッ、お前はジャイアンか」
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