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暗い顔で呟かれた後半の言葉は誰にも聞こえなかった。
ぼうんとふざけた音を立てて長身の人の姿になったユーロは、首筋をちくりと刺す殺気に振り返った。
その先に腕を組んでほくそ笑む手塚がいた。
「よぉ、山猿」
山猿と呼ばれたユーロは、その呼称にぴんときて目を細めた。
「おや、いつぞやの師団の方じゃないですか。今日はでぇとではないのですか?」
手塚の笑みがふっと消える。
すぐ顔にでる子供らしい反応にユーロは鼻で笑った。
「知り合い?」
今にも飛びかかりそうな手塚を一瞥してたずねたのはヒヅメだ。
手塚はヒヅメの問いには必ず答える。
苦い顔をして低く、魔法界で一度…と答えた。
藤枝兄弟と気分転換と称して魔法界勉強に赴いた遊園地。
そこで出会った陽気な猿。
初対面から気に入らない奴だったが、まさか魔女狩りに関係しているとは思わなかった。
「君が魔女狩りに関係しているなら聞こうか。ミヒャエルは何処にいる?」
「さ~~~~~~~あ?わたくしにもサッパリ」
腕を広げて大下駄に肩をすくめてみせるピエロ。
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