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「――――――――塞」
甘く囁くような言葉が聞こえた。
瞬間、珊瑚の色をした糸が背後から由鶴を指差すユーロの指を捉えた。
ユーロが息を呑む。
気付かなかった。
「――――――――止」
今度は左からユーロの体に巻きつく。
「――――――――締」
右斜め前から腕へ。
捉、防、戒、抑、様々な一語の度に四方八方から糸がユーロに絡みつく。
「―――――――――縛」
最後に正面のヒヅメが紡いだ言葉による糸は朱色。
これはウイが使った牢獄と酷似している形のある捕縛術。
「“棺”」
次の瞬間、ユーロと師団を繋いだ糸の、師団側がぷつりと切れた。
糸は意識を持つかのようユーロに襲いかかり絡まっていく。
最終的に出来上がったのが珊瑚色の繭だった。
飼う生き物に名前を付けることはあっても、魔法は想像力でなす術が多いので名前はない。
人により名づける者もいるが、それは好みや趣味の範囲。
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