どっちかといえば寒いより暑い方が耐えられる

12/13
前へ
/95ページ
次へ
けれども6つ、扱うのは難しいが誰もが知っている名のある術がある。 その一つが“棺”だ。 完全にユーロを捕らえたとその場にいる全ての者が思った。 その緊張が緩んだ隙を縫って突如現れた一枚のカードが繭の周りを旋回した。 カードは繭の真上へ移動し、強く発光すると巨大な槍が繭の中心に刺さった。 そこから繭が硝子に似た音を立てて散っていく。 「なっ……………!?」 ヒヅメが驚愕に目を見開いた。 槍の柄ぎりぎりに突っ立って姿を現したユーロは冷や汗をかきながら引きつった顔で槍に触れた。 「あっっぶないなぁ。もう少しで串刺しですよ、ハハハ」 心臓がバクバクしているユーロだったが、このチャンスを利用する手はない。 ヒヅメに丁寧にお辞儀し、手塚に片目を瞑ってみせると、師団が動く前に瞬く間にその場からかき消えた。 「その魔女さん達はなかなかいい。また別の機会にわたくしかミヒャエルがお迎えにあがりますね」 ユーロの声が木霊する。 辺りを見渡すが、どこにいるのか全く分からない。 飄々として遊んでくるユーロに手塚は怒りに震える。
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

134人が本棚に入れています
本棚に追加