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けれども6つ、扱うのは難しいが誰もが知っている名のある術がある。
その一つが“棺”だ。
完全にユーロを捕らえたとその場にいる全ての者が思った。
その緊張が緩んだ隙を縫って突如現れた一枚のカードが繭の周りを旋回した。
カードは繭の真上へ移動し、強く発光すると巨大な槍が繭の中心に刺さった。
そこから繭が硝子に似た音を立てて散っていく。
「なっ……………!?」
ヒヅメが驚愕に目を見開いた。
槍の柄ぎりぎりに突っ立って姿を現したユーロは冷や汗をかきながら引きつった顔で槍に触れた。
「あっっぶないなぁ。もう少しで串刺しですよ、ハハハ」
心臓がバクバクしているユーロだったが、このチャンスを利用する手はない。
ヒヅメに丁寧にお辞儀し、手塚に片目を瞑ってみせると、師団が動く前に瞬く間にその場からかき消えた。
「その魔女さん達はなかなかいい。また別の機会にわたくしかミヒャエルがお迎えにあがりますね」
ユーロの声が木霊する。
辺りを見渡すが、どこにいるのか全く分からない。
飄々として遊んでくるユーロに手塚は怒りに震える。
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