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「行って来まーす!」
元気よく歩き出した2人だけど、柚実は何度も振り返って俺を見つめるという動作を繰り返した。
不謹慎だが、なんだかかわいいと思ってしまう俺を誰が咎められようか。
「隆也、あなた……妹の寂しそうな顔を見てニヤニヤするなんて、最低ね」
すると、後ろを振り返れば、ニヤニヤといやらしい顔をした母さんが立っていた。
「は、はぁ!?ニヤニヤなんかしてないからっ!それを言うなら母さんの方がニヤニヤしてんじゃねぇか!」
それを聞いてさらに嫌な笑みを浮かべて俺を見てきた。
「な、なんだよ?」
「別に?ただ、美少女に囲まれて療養ライフを満喫してる息子の心境を想像してるだけよ?」
何か問題でも?と言いたげな表情が非常に腹立たしい。
が、あいにく、反論出来るような材料を持っていない俺に、俺をよく理解している母さんを言い負かすなんてことは不可能らしかった。
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