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「あんた、馬鹿なの?死ぬわよ?」
まさか母親からそんな言葉を聞くとは、まったく思わなかった
「いやいや、死ぬってすぐそこまで行くだけじゃねぇか!」
「階段降りるのに10分もかかってるあんたが、高校まで行くのに何時間かけるつもり?」
クッ……それを言われると何も言えない自分が情けない。
「あんたは私の息子よ?無茶なんてさせたくないわ。まだまだボロボロなんでしょ?体も心も」
どうやら全てお見通しのようだ。
「……大丈夫よ。章哉くんと鈴奈ちゃんに頼んでおいたから。心配なのは分かるけど、柚実なら大丈夫よ。私の子だもの」
母さんの微笑んだ姿は、やはり母親らしかった。
「……まあ、それはそうだな」
妙に説得力のある言葉に、何故か納得してしまう。
そう、だよな。俺の妹だ。何も心配することないじゃないか。
「ほら、早くそんなところに立ってないで入りなさいな。そろそろ包帯、替える時間じゃないの?」
「その通りでございます。早くお入り下さいませ、隆也様」
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