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「じゃ、行ってくるね……?」
柚実が名残惜しそうに俺の体から離れる姿はとても寂しそうだった。
準備を整えた2人を送り出すために、少々無理して玄関先まで出てきたわけだが、柚実がなかなか離れなかったわけだ
正直、一緒についていってあげたい気持ちでいっぱいなんだが、今の俺では足手まといになってしまう。
ここは心を鬼にして送り出すしかないようだ。
「明日から夏休みだし、いっぱい一緒にいられるから、今日は頑張れるよな?」
不安げな顔を拭う意味で頭を撫でると、少しだけ笑顔を見せてくれた。
「美沙。母さんから許しが出たらリハビリの意味で迎えに行けるかも。まあ、俺がいなくても柚実のこと、頼むな?」
羨ましそうに俺の手を見つめる美沙にも一応撫でておく。
こちらも嬉しそうに目を細めて、とろけたような表情をする。
「デレデレすんな!ほらっ、さっさと行ってこい!」
いつまでも撫で続けなければいけなさそうなので、急かすように送り出す。
……本当に、こいつらは俺がいなきゃダメだよな。
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