1059人が本棚に入れています
本棚に追加
/121ページ
「はっ!……はぁはぁはぁ……」
闇があける。
大樹の視界に広がるのは病室。
「大樹、やっと目覚めたのじゃな」
「ふ、風華……」
ベッドから体を起こした大樹に抱きついてきたのは十二単を纏う美女、長宗我部風華だった。
「(夢か……)」
先ほどまでいた闇の中はどうやら夢だったらしく大樹に多少の安心感を与えた。
隣をみるとヴェイも傷の手当てをされて寝ていた。
「俺、いったい……」
「倒れているのをリサーナが見つけたのじゃ」
「そうだったのか」
リサーナには後でお礼を言おうと決める大樹は起こした体を再び寝かす。
「心配したぞ、一週間も目を覚まさなかったからの」
「い、一週間!?」
まさかだった……。
どうやら夏休みは終わり時音を連れ去られ一週間もたとうとしていたのだから。
「本当に……心配したのじゃ。頭や体から血を流すそなたを見て、妾は、妾は……」
「ごめん風華……」
瞳に涙をためる風華。
とても申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
最初のコメントを投稿しよう!