1059人が本棚に入れています
本棚に追加
その日の夜大樹はなかなか寝付けなかった。
医者からは明日には退院できると言われた。
学校は二日前から始業式をむかえたみたいだ。
仲間がどうしてるかきになる。
退院したらどうする?
魔法界へ行って時音を助ける!
という決意が揺らいでしまう。
脳裏に焼き付けられたアンジェリカとの戦いがその決意を鈍らせるのだ。
圧倒的な力の差だった……。
「ちっ……」
隣で寝ていたヴェイが突然起き上がる。
「お、おい……」
「なんだメガネ起きてたのか」
「どこ行くんだよ?」
思わず大樹も起き上がってしまった。
「決まってんだろ?このまま負けっぱなしでいられるかよ」
「まさかお前、また戦う気かよ?」
「わりーか?」
「止めとけよ!あの人の強さは尋常じゃない」
「あァ?テメェ何言ってんだ?」
ヴェイが大樹を睨んできた。
いつもギラギラした目つきをしているヴェイだが、その睨みはいつにも増している気がした。
「マジッカーズに相談してみるって手だってあるだろ。今の俺やお前じゃ絶対にかて――ぐっ!」
ヴェイが大樹の顔面を殴った。
「マジッカーズに相談だァ?テメェあの時なんて言った?……あの女の子はテメェが助けるって言ったじゃねーか!それを適わねーからマジッカーズに助けてもらうってか?テメェの言った事くらい責任持ちやがれ!」
「……」
「……負け犬だよ。テメェは」
ヴェイは転移魔法でゲートをつくり病院から脱出していった。
大樹は何も言わずただ立ちすくんでいるだけだった。
最初のコメントを投稿しよう!