第一章~恐怖~

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退院した大樹は学校へ通う。 いつもの日常に戻るはずだった。 しかし現実はそれを許してくれない。 大樹の従魔である悪魔のバロムは夜狐を追ったきりだったらしい。 そして従姉の美咲にはとりあえず何故入院するハメになったのかワケを話した。 美咲の反応は特にこれと言ってなかった。 「大変だったな……」と大樹を心配してくれていた。 また美咲は大樹に何かを言いたげであったが大樹はそれに気付くことなく職員室を出て行ってしまった。 昼休み。 大樹は妹の愛情弁当を机に出していつも昼食をともにしている森川美奈穂を待っていた。 「美奈穂おせぇーな……」 そんなことを呟きながら待っていると教室に美奈穂と同じクラスの桜井レミが入ってきた。 レミは「ちょっと」と言い大樹を教室の外へ連れ出して人気のない体育館裏へ招いた。 「どうした?」 大樹は少しドキドキする。 なんと言っても美少女と人気のない場所で二人きりなのだから。 「……美奈穂が誘拐されたわ」 「え?」 頭が真っ白になる感じがした。 「こんなものが美奈穂の自室に送られてたわ」 レミが手渡してきた封筒を恐る恐る受け取り中身を確認する。 「な、なんだよこれ……」 中に入っていたのは手足を拘束され上半身裸にされた美奈穂が痛めつけられている数枚の写真だった。 その体は鞭などで打たれたのか所々赤く腫れ上がり痛々しさを物語っていた。
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