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「大樹!」
「えっ!?なに、どうした?」
「先ほどからどうしましたの?」
シャーネルがぼーっとしている大樹を不思議に思い覗き込む。
今二人は魔法クラスの授業でいつものようにストレッチから始めようとしていた。
「……」
「まぁ時音の事が気になっているのでしょうけど」
当たりだった。
さらにあげれば夜狐のこともそうだ。
しかし問題は美奈穂も加わりさらに深刻な状況になっていた。
「シャネ……俺、どうしたらいんだろ?本当はいますぐ助けに行くべきなんだと思う。でも俺なんかには無理だ…………助けられっこない。逃げたい……」
「大樹……」
アンジェリカとの戦いが大樹を恐怖へと追いやったのだ。
そしてその恐怖は大樹の勇気や自信などを食い尽くしてしまう。
「わたくしとしては……あなたにムチャはして欲しくありませんわ」
「……」
「でも、そんなわたくしをいつも心配させるのが大樹ではなくて?」
「ごめん、心配かけてたよな……」
「去年の練習試合であなたが私に言ったことをそのままお返ししますわ。大樹……あなたが決めるのですわ。あなたが出した答えなら、わたくしはどんな答えでもあなたの味方ですわ」
「ありがとう……」
大樹が笑った。
少し作り笑い気味だったが大樹としては少し救われた思いだった。
シャーネルは言っときながら自分は今とてつもなく恥ずかしいことを言ったと思い徐々に顔を赤らめる。
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