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「定秋!」
僕の後ろから源涼子(ミナモト スズカ)が息をきらせながら走ってくる。
涼子は僕と同じクラスで、僕が高校に入学してから度々絡んでくる。
涼子は短く切った黒髪の下に、僅かな水滴を浮かべて僕の隣りに並ぶ。
「何?」
僕は気の抜けたような返事をする。
「ハァ、ハァ、ハァ。
いや、あの…………。
今日、佐山教頭からどんな問題出されたのかなって?」
涼子は苦笑いを浮かべる。
「地球がブラックホールになった時の半径」
僕はぼそりと言う。
「えっ?
何それ?
凄くない?
どれくらいになるの?」
涼子は答えをせがんだ。
「9mm」
「へぇ。
そんなにちっちゃくなるんだぁ」
涼子は感心したように言う。
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