てごちっ!

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「うぇ~ん!いやなの~!てごちがいいの~!!うわ~ん!!」 いくらなだめてもすかしても、一向に泣きやまない男の子。公園中に鳴き声が響き渡っている。 母親はすっかり弱り果てていた。 「困ったわねぇ…。手越くんと遊びたいって言っても、今日はお休みじゃないのよ、きっと。お仕事してるから忙しいのよ…。」 男の子の母親は、サッカーが好きな子供のために、ほぼ毎日サッカーボールを持って公園にやってきていた。 近所の同じ年くらいの小さい子たちも一緒になってボールを蹴っていたが、なにせ、小さい子たちなので、サッカーというより、ボールとじゃれているといったほうが正しいかもしれない。 昨日は、いつも一緒に遊んでいる子たちが来られなくてひとりだった。ボールを蹴る相手は男の子の母親。 その時、手越がたまたま近くを通り、ふらりと公園に立ち寄った。 そこでサッカーボールを蹴っていた男の子を見つけて一緒に遊んだのだ。 よほど楽しかったらしく、また一緒に遊びたい、と男の子が言ってきた。 それに対してうっかり、 「いいよ。今度また遊ぼうね。」 と、約束してしまった。 「あした、また、ここにくる?」 「うーん…約束は出来ないけど…」 約束は出来ないと言ったにもかかわらず、どうやら男の子はすっかりその気みたいだった。 .
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