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車は順調に走っているように見えたが…。
「あら?どこに向かってるの?こっちに来たら…反対方向でしょ?」
「うん…ちょっとな…。」
「修登、パパったら、ますますあやしいわよ。」
「パパ、どこいくの?」
「もうすぐだから…ちょっと待って。」
もうすぐだから…と言われて向かった先は、公園。
車は公園のそばでスピードを落とした。
ウィンカーをあげて停車すると、車に近づいてくる人物がいた。
「お、来た。修登、見てごらん。」
と、指差す方向には、仕事が立て込んでいて忙しいからと言っていた手越がいた。
「あっ!てごちだっ!てごちぃ!」
修登はパワーウィンドーを開けて手越の名前を叫んだ。
「修登!」
手越は修登の両親に軽く会釈をすると、後部座席にいた修登に駆け寄った。
「修登、元気だった?」
「うん!てごちは?」
「全然元気だよ。」
手越は前の座席にいる修登の両親に改めて向き直った。
「間にあってよかったです。ちょうど近くで仕事してたんで、少しだけ時間をもらってきたんです。」
「あら、そうなの。わざわざありがとうね。主人ったら、何も言わないでここまで来るから…。」
「いえ…時間が合うかどうかわからなかったので、三上さんには黙っててもらったんです。会えるって言っておいて、都合が悪くなって会えないとがっかりさせてしまうから…。」
「そういうことだったのね。、どうしたのかと思ったら…。」
と言って、修登の母親は三上に目をやった。
三上はなにも言わずに笑っていた。
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