第3話

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  「そう…」 たったそれだけしか、返せなかった 傘でこの表情が見えない事を、私は密かに祈った 「そういえばこの町には、ある模様がこの町の象徴になっているんですよ」 先ほどまでの会話が無かったかのように、彼は言う 私も切り替えないといけないと思った 「それはどんな模様なの…?」 「これですよ」 彼が指差した先には、涙の形のネックレスが置かれたショーウィンドーがあった 「涙の形……?」 「えぇ、『ティア』ですよ」 「ティア…」 「涙、涙のしずくという意味です 雨の形が涙の形に似ていた為、この模様が象徴になったらしいですよ」 「そうなんだ…」 博学…なのかな… こういうところを見てしまうと、さっきのが嘘みたい…… けれど 恐怖が薄れていく感覚より、増幅していく感覚を私は覚えた
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