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「そう…」
たったそれだけしか、返せなかった
傘でこの表情が見えない事を、私は密かに祈った
「そういえばこの町には、ある模様がこの町の象徴になっているんですよ」
先ほどまでの会話が無かったかのように、彼は言う
私も切り替えないといけないと思った
「それはどんな模様なの…?」
「これですよ」
彼が指差した先には、涙の形のネックレスが置かれたショーウィンドーがあった
「涙の形……?」
「えぇ、『ティア』ですよ」
「ティア…」
「涙、涙のしずくという意味です
雨の形が涙の形に似ていた為、この模様が象徴になったらしいですよ」
「そうなんだ…」
博学…なのかな…
こういうところを見てしまうと、さっきのが嘘みたい……
けれど
恐怖が薄れていく感覚より、増幅していく感覚を私は覚えた
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