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「貴女は何時も、此処にいるのですか?」
僅かな沈黙を破ったのは、若い男だった
「何時もいるわ」
私はコクリと頷いて答えた
また冷たい風がフワリと私と若い男の間を吹き抜ける
けれど若い男の所の風だけは、若い男を包むように吹き抜けていった
でも私は大して疑問を持たなかった
「そうですか
でもそろそろ日が暮れますよ?」
「何時も夜になってから帰るの」
「どうしてですか?」
「夜を味わいたいのよ」
私が言うと若い男は不可思議(クスリでもフワリでも無い、空白みたいだから)に微笑んだ
「貴女は私と同じ匂いがします
そう
黄泉へと誘われても、戻って来そうな感じが特に―――――――」
若い男の微笑みはきっと
どんなに可愛い子より
どんなに優しい人より
どんなに意味深な人より
不可解で…不可思議で……
この世の言葉では言い表せないほど
怪しく、美しい微笑みだった
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