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「真の魔王、か。……一つ聞きたいのだが。」
『なんでしょうか?』
ドレスの女性は扇を開いて口元を隠し、目を少し細めた。
「先程魔王に昔話をさせなんだな。どうしてだ?」
そう聞かれた朱い目の女性は一旦瞳を閉じて俯いた。
そうして瞳を開いた女性の瞳には仄かに怒りがうつろいでいた。
『ライル様の友、アルフォードには……
女神がついています。』
朱い目の女性がそう言うと、今まで不敵な笑みを浮かべていたドレスの女性から笑顔が消えた。
「女神?ヘルヴェール、お前とは違う女神がいるのか?」
『はい、パイモン。私が闇の女神と呼ばれ、彼女は光の女神と呼ばれていました。』
朱い目の女性、ヘルヴェールは忌ま忌ましそうにそう言った。
「…名を何と言う?」
ドレスの女性、パイモンの言葉を聞くと更にヘルヴェールは瞳に怒りを燈らせ、大きく息を吸って、
『…女神の名は』
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