第二章 前編

28/50
前へ
/285ページ
次へ
「真の魔王、か。……一つ聞きたいのだが。」 『なんでしょうか?』 ドレスの女性は扇を開いて口元を隠し、目を少し細めた。 「先程魔王に昔話をさせなんだな。どうしてだ?」 そう聞かれた朱い目の女性は一旦瞳を閉じて俯いた。 そうして瞳を開いた女性の瞳には仄かに怒りがうつろいでいた。 『ライル様の友、アルフォードには…… 女神がついています。』 朱い目の女性がそう言うと、今まで不敵な笑みを浮かべていたドレスの女性から笑顔が消えた。 「女神?ヘルヴェール、お前とは違う女神がいるのか?」 『はい、パイモン。私が闇の女神と呼ばれ、彼女は光の女神と呼ばれていました。』 朱い目の女性、ヘルヴェールは忌ま忌ましそうにそう言った。 「…名を何と言う?」 ドレスの女性、パイモンの言葉を聞くと更にヘルヴェールは瞳に怒りを燈らせ、大きく息を吸って、 『…女神の名は』  
/285ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30041人が本棚に入れています
本棚に追加