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「魔王様、軽食にサンドウィッチを持ってまいりました。」
そう言えばそんなことを頼んだなぁ、なんて思い出した。
『ライル様はこれからお休みになられます。寝室に行くのでついて来てください。』
「はい、畏まりました。」
俺の代わりにヘルヴェールが返事をし、それにメイドさんが頭を下げて応えた。
『それではライル様、こちらです。』
ヘルヴェールに促され、部屋から出て扉をしめ、俺とメイドさんはヘルヴェールに着いて歩いた。
いやはや、この場内の部屋の配置は俺の事を考えてしてくれたようだ。
玉座の間から執務室が近く、執務室のすぐ近くに俺の寝室が作られていた。
玉座の間から歩いて一、二分かからないくらいの距離か。
普通の家ならば広い、と感じるのだが城としては普通なのだろう。
アルの家も大広間からアルの部屋までもう少し時間がかかった。
平民の俺からしたらこの城もアルの家も大きいのだが。
まぁそんなに遠い訳じゃないし、城の大きさなど直ぐに慣れるだろう。
そんな事を考えていると、ヘルヴェールが寝室の扉を開いてくれた。
先にヘルヴェールが入り、そのあとを俺が続く。
入ったその寝室は正に【王の部屋】と言うに相応しい部屋だった。
天幕月のベッドが壁際に置いてあるが、壁際だというのに金で装飾されているベッドが最も存在感を放っていた。
天幕は白く半透明で、その中に見える布団は紅く、またやはり金色で豪華な刺繍が施されていた。
同じく壁際には小さな机があり、その上には綺麗な花瓶があり、純白の花が生けてあった。
そして反対側の壁にはクローゼットと本棚が。
部屋の真ん中には丸い机が置いてある。
窓は執務室同様大きく、そのむこうにはテラスが見える。
そして天井には豪華華美なシャンデリア。
もう外がくらいので明かりが着いているが、真昼を思わせるほど明るい。
昔アル達の家にあったシャンデリアを「あんなのいらないよ」なんて言った覚えがあるが、よもや俺の寝室に付けられるとは思いもよらなかった。
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