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壁紙は白が基調だが、薔薇のような絵が白色で描かれていた。
影が描かれているせいか浮き上がって見える。
『ライル様、食事を取りお休み下さい。』
「あ、ああ。」
部屋の豪華さに驚いていた俺は、ヘルヴェールの言葉で足を動かし部屋の中に入った。
その脇を台車を押したメイドさんが中に入り、高級な料理のみを入れるために作られたであろう銀の蓋を取った。
そこにはサンドウィッチが皿の上にいくつか乗っており、メイドさんはその皿を机の上に乗せた。
その素晴らしさたるや、机に皿を乗せた音が本当に小さい音で置いていたのだ。
そんな事までやるのか、なんて思っただけで心から尊敬してしまう。
「どうぞ、魔王様。」
そう言ってメイドさんは椅子の真後ろに移動して、椅子を引いてくれた。
「ありがとう。」
俺は扉の当たりから椅子の元まで歩き、メイドさんの引いてくれた椅子に座った。
「ハムとレタスのサンドウィッチと卵のサンドウィッチがございます。」
サンドウィッチの具を教えてくれたメイドさんはそのまま台車まで戻り、ティーカップを俺の前に置いてくれた。
そしてティーポットから良い香りのする琥珀色の液体が、ティーカップに注がれていく。
「これは……紅茶?」
「はい。魔人と魔物が多く生息する森のみで取られる茶葉から出来る紅茶です。これは人間が作っても本当の味を出すことが出来ません。魔人や魔物の持つ独特の魔力が触れる事で真の美味しさが出るのです。」
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