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そう説明してくれたが、生憎俺はそこまで紅茶に詳しくない。
人が作っていようといまいとわからないのだ。
しかし説明してくれたメイドさんにとりあえずの感謝を述べて、サンドウィッチと紅茶を頂いた。
味は美味しいし、量も軽食と頼んだせいかそこまで多くない。
本当に美味しいうちに食べ終え、気分も良く紅茶を飲み干した。
「美味しかったよ、ありがとう。」
そうメイドさんに告げ、メイドさんが頭を下げたと同時にヘルヴェールが俺の横に立った。
『それではライル様。そろそろお休み下さい。明日からまだまだやらねばならぬことは多いのです。初日から体調を崩されてはいけません。』
「ああ、寝るよ。」
何故かヘルヴェールにそう言われた瞬間、瞼が重くなってきた。
それと時を同じくして、ほんの一瞬だが戦う前にヘルヴェールが体を強化してくれた時同様の、体内が侵食されるような感じがした。
それについて聞こうと思ったが、口が勝手に返事をし、いつの間にかベッドへと動かされている。
鎧は着替えなくていいのか、剣は外さなくていいのか、そんな疑問が次から次へと沸いて来るにも関わらずただベッドへと倒れ込み、意識を失った。
「どうなのだ女神、魔王の方は?」
暗い一室で二人の女性が向き合っている。
一人は挑発的なドレスに身を包んだ女性。
もう一人は淡い光が発光する朱い目をした女性だった。
『ライル様は眠っています。』
「あれをして、か?」
そうドレスの女性が尋ねると、朱い目をした女性はゆっくりと頷いた。
『ライル様はこれで誰かの死を悲しむ感情が少なくなるでしょう。このまま続けばライル様は誰が死んでも一切悲しむことは無くなります。』
「ふふふ、計画通りに進めばよいな。」
『はい、ライル様が真の魔王になれるように。』
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