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授業は退屈だ。午後の授業は眠くなる。特に、昼飯を食べた後五時限目の現国は。
「えー、では不知火!120ページ読んで」
いきなり指名が来た。慌てて立ち上がりページをめくる。
「゛我、神に意見するモノなり。この剣にかけ、真実を求む。汝らその手に自由を欲するも、なんら変わらず枷を引きずり刃向かう者無し。何故闘わぬ汝ら!我は天空を翔けし戦士なり。この身千々に砕け散るとも、自由を勝ちとりたる者なり。」
「はいそこまで!堕天使ラークの登場までね。彼は作者村上蒼月の書いた創作の堕天使でー天使でありながら人間に味方して反乱を起こすのです」
あーあ、現国の南田のジジイは話が長いからな。
そのくせ黒板に書くのは遅い。見ててイライラする。
「おい、闇紫」
こそこそと後ろから声がした。
「これ、隣のクラスから。放課後カラオケのお誘いだぜ。二組の遠藤から」
ヒソヒソと声を潜め、後ろの席の小西がくしゃくしゃになった紙を渡して来た。後ろ手で受け取って、中を開いてみた。
二組の女子三人と合コン♪お前も来いよ!
遠藤
…おしいな、今日は行けない。
僕はノートのきれっぱしに断りの返事を書くと、小西に後ろ手で回した。
残念だったな、と小西が僕にこっそりと囁いた。
***********
「合コン?へぇ、行きゃあよかったのに。二組かわいい子ばっかじゃない」
油絵を仕上げながら、神城部長がケラケラ笑う。さっぱりした性格で、姐御肌な彼女は同性からも異性からも好かれている。黒髪のロングヘアと切れ長の大きな瞳が魅力的な美人だ。
「先輩、知ってるでしょ。僕そーいうの嫌いだって」
ふて腐れてもくもくと色を重ねてゆく。みんなして僕を励まそうとしてくれるのは嬉しいけれど、その下にある下心と打算が見え隠れする。
遠藤は多分僕を餌に女子を誘ったんだ。
前にも前科がある。その手にのるか。
「アハハ、美人も大変だぁね。引く手数多の闇紫君~」
ケラケラケラ。馬鹿にされて、思わずムッとした。
「先輩。この間ラブレター貰ったそうですね。女子から!」
神城部長の顔色が変わった。
「てめぇ!不知火!」
なんで知ってんだ!と僕は筆箱で頭をどつかれた。
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