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懺悔せよ、エデンを追放されし七番目のカイン
「…は?何だよそれ…」
紅月がくわえていたタバコをぽろり、と落とした。顔は驚愕に染まっている。俺はくす、と口許を歪めた。
「言った通りだよ、紅月。俺は義理の息子と関係を持ってる」
「おい、正気かよ?!」
紅月は俺の胸倉を掴み上げた。
「てめぇ、あの女性と約束したんだろ?!護るって!!それを…、よりによってセフレ扱いか!?」
セフレ?…もっと悪いよ。何たって、
「合意すらないからね」
俺はそう言ってニッコリ笑った。
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カインはアダムの七番目の息子でした。カインは他の兄弟より美しく、その美貌をして驕り高ぶっていました。ある日カインは自分より美しい少年と出会いました。少年の名はハイン。リリスの息子。淫魔リリスの美貌と知性を受け継ぐ、魔性の権化…。
カインはハインに禁断の恋をしました。
そして禁断の行為をしてしまったのです。
カインは神の怒りに触れ、天の火に灼かれて死にました。
そしてゲヘナへ着いた時、地獄の審判に真実の愛を訴えましたが、禁忌を犯した罪により、
……業火に永久に焼かれる罰をかせられました。
村上蒼月著「カルナヘナ」
夕日が目に痛い。朱い光が、汚れたこの身を照らす。
「君の御祖父様の書だ、紅月」
紅月の、顔色が変わる。
「俺の師。そして…俺のもとの常連客様だ」
くすくすくす…。
腹の底から笑いが起こる。すべてが馬鹿馬鹿しくて堪らない。
「君だって、人にどうこう言えるのかい?神父様に捧げる愛が、友愛や尊敬と呼べるものではないないはずだ」
紅月の顔がみるみる高揚していく。
バキ!!
重い拳が、ストレートに左の頬に決まった。
「お前まで、あのクソジジイの話蒸し返すのか?!あいつは…人間じゃねぇ、ただの腐れ外道だ!!神父さんだけは…、俺を見てくれたんだ、絶対に傷付けたりしない!!てめぇと違ってな!!」
強い瞳だ…。熱く、ジンジン痛む頬を摩りながらぼんやり思う。傷付いても傷付いても羽ばたこうとする、猛禽のようだと。
けれど。
綺麗事過ぎて見ていられない。
見返りを求めない愛はただの信仰だ。
「目を醒ませよ紅月。」
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