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悔い改めよ、追放されし 七番目のカイン
「君は逃れられるとでも思ってるの?紅月…。俺達はあの人と同じ黒い血が流れてるんだよ。生まれた時から汚れてる」
…だから清らかな魂に惹かれのさ…
紅月の瞳に、絶望が広がる。自分を抱きしめるように、うずくまる。
「てめぇ…いったい何が言いたいんだよ!!お前の罪は重過ぎて神さんすら逃げ出すぜ…。七番目のカイン!」
傷付きながらも、吠えることを止めない。
「今さら赦されたいなんて思わないさ。ただ…秘密を抱え込み過ぎて辛くなってきたから、懺悔と称して告白にきただけ。神は赦すしか、能がないからね」
ぎり、と紅月が唇を噛む。
「秘密、な。てめぇはそうして何も知らねぇ息子を食い荒らしていく積もりかよ、ヘドが出るぜ」
「…愛しているよ、苦しいくらい。でも、天使を愛するには俺は汚れ過ぎた」
「…おい」
俺の頬に、人間だった頃の名残の雫が伝う。
「…どうしたらいいんだろうね、紅月。悪魔が天使に恋をしちゃったよ」
あはははは…
滑稽過ぎて喜劇にも成らない。最悪なシナリオ。
「真那白…?」
「ふふ…ねぇ紅月。黒い血を持つモノは、やはり世に憚るものだね。聖母も御子も、俺を置いて逝ってしまった」
護れると思った。たとえ偽りの父親でも。自分にも、たとえ血の繋がりが無くても家族が出来るのだと…
「神はそれすら取り上げたよ紅月。…我々には幸せを得る権利はないらしい」
「……」
「でも、今は幸せだ。闇紫という素晴らしい息子を持てたからね。たとえ、実らなくても…俺は一生分の恋をした」
これから先、もう二度とない程の恋。
「…お前はそれでいいのか。俺には、闇紫が成人したら姿を消します、って言ってるように聞こえるぜ」
…驚いた。察しがいいね。
「懺悔だって言っただろ?…あいにく友達は少なくてね。同じ泥まみれな友人…お前に聞いて欲しかった」
あの頃から一緒にはいつくばって泥と血にまみれ生きてきたお前と。
「…俺は神を赦さない。…でも、あの子には幸せになってほしい…」
願うことは、罪かな?
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