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神は、何のために…
俺を、作った…?
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キラキラ輝く、星。夜の闇に紛れる、俺の影…。
街の中、様々な人が流れる。誰もが何も見ていない。どこか足早に通り過ぎる。暖かい巣穴へ帰るんだ…
どこをどう、歩いたのか解らない。いつのまにか、ここにいた。
雑多なビルの群れの片隅。ゆらゆらと燻らす、タバコの煙を見つめていた。あの人と同じ、香り…
俺は、闇紫をまだ愛している。…まだ、消えない…。この胸の、浅ましい思いは。
けれど…。
…生まれていれば、あの子は、どんな子供に育っていただろうか。闇紫の、子供…。
生まれてはいけない、禁忌の子供…。
けれど、あの子には何の罪もない。何故死ななければならなかったのか…。
神は残酷だ。死んでもいい人間が、こうして生きている…
ぽつぽつ…ザーッ
雨が降り始めた。少しずつ、服に染み込んで、冷たく重くなっていく。
暗く澱む空。冷たい雫が降り注ぐ街。
罪も痛みも、包みこんで…
このまま、目を閉じて息を止めて。
…眠らせてくれ。懺悔を繰り返すのも、縋り付くのも、もう疲れた。
鎮まることを知らない街のざわめき。ここでなら、きっと淋しくない…
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あんし、あいしてる。
こうしてきみのぬくもりをかんじているときだけ、おれはゆるされているかんじがしたよ。
おれはどうしようもないひとごろしで、さいていなにんげんだけれど、それでもあずささんもこどももあいしていたんだ。まもれるとおもったんだよ。
でもおれなんかがしあわせをのぞんでしまったから、ふたりはしんでしまったんだね。
もうじぶんのしあわせなんかのぞまないから。あいなんかほしがらないから。だから…きみの、しあわせだけを、いのってる。
おれなんかわすれて、ふつうにいきていって。
うらんでもにくんでもいいけれど。でも、これだけはしんじつ。
…あいしてる。きっと、えいえんに。
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