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まなしろ…?
どこへ、いったの…?
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お前にまで否定されたら、僕は生きていけない。
だって誰もいないんだ。あんたがいなくなったら誰も…。
母さんは罪の仔を孕んで逝った。僕のせいなんだ。あんたを騙していた…。でも、怖かった。
罵られても疎まれてもいい、けれど…。
赦されるなら。まだ、一欠けらでもいい、僕を愛してくれているなら、肯定して欲しかった。
…僕を抱きながら、真那白はずっと声に出さず叫んでいた。
…アイシテル…
今なら解る。何故、言葉にして伝えなかったのか…
言える訳、なかったんだな。…人一倍、臆病で不器用な男。
哀しみばかり抱えて、苦しみ続けて…。
もう赦されてもいいはずなのに、神はいつまでもあいつを解放しない。
挙げ句、よりによってマザーファッカーの息子を持つとは。
…最低だ。わかってる。
でも傍にいて欲しい。
あんただけだ。僕を欲しがってくれたのは。
互いの疵を嘗め合い、翼を重ね眠る。
臆病と罵られてもいい。
他の誰かに指を差され嘲笑れてもいい。
それでも暖かい巣だったのだ。
あいつが作る料理も、帰って来ると微笑んで言う「お帰りなさい」も。
哀しい程あいつはあの「家族ごっこ」を大切にしていたんだ。
すぐ崩れ去る、砂の城なのだとわかっていながら…!!
真那白。答えて欲しい。
お前の真実が、まだ僕にあるのなら。
それを告げる前に、逃げ出すなんて認めない。
僕はお前を見つけるよ、真那白。たとえ答が僕の心を引き裂くものであったとしても。
怖くはない。お前を失うなんて認めない。
真実を。僕はお前の罪なら背負える。
だから、もう自分を否定しないでくれ、真那白…!
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ザーッザーッ
雨音が強まってきた。
街の雑踏も少しずつなりを潜め、午前1時。
私は不思議なものを見つけました。
「まあ、ターイヘン。死体が転がってるわ」
えらく綺麗な男の人。
腰まで伸びた長髪に、白く透き通る肌。青ざめて、唇紫色。服はびしょ濡れ。
仕方ないわね~
「私、アンジェラ・舞が拾ってあげるわ」
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