241人が本棚に入れています
本棚に追加
真那白は母さんが死んだ後、自分はゲイであることをカミングアウトした。
母さんは彼が同性愛者であることを知っていて、結婚した。出会った時すでに、母さんは妊娠していたと、真那白は語った。
…この子を産みたいのっ…お願い協力してちょうだい!…
真那白はお腹の子の父親が誰かは知らない。
母さんは涙を流しながら言ったそうだ。
…お願い聞かないで。でもこの子を殺したくないの…どんなに望まれなくても…私は産みたい…
真那白は、母さんが子供の父親に選んだフェイクだった。
世間の目から、子供を守るために…
真那白は、お腹の子の父親が僕であることを、知らない。
***********
僕の通う学校は、私立のミッション系の高校だ。
校舎の敷地内に古びた教会があって、日曜日には近所の人も集まってミサも開かれたりする。
「マグダラのマリア?」
図書委員の山田が眉を潜めた。
「歴史の宿題なんだ。キリスト教に纏わる人物を調べてこいって」
「ふうん。」
山田は眼鏡を押し上げて、カウンターのパソコンに向かった。
図書室は静かでいい。
最初のコメントを投稿しよう!