プロローグ

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真那白は母さんが死んだ後、自分はゲイであることをカミングアウトした。 母さんは彼が同性愛者であることを知っていて、結婚した。出会った時すでに、母さんは妊娠していたと、真那白は語った。 …この子を産みたいのっ…お願い協力してちょうだい!… 真那白はお腹の子の父親が誰かは知らない。 母さんは涙を流しながら言ったそうだ。 …お願い聞かないで。でもこの子を殺したくないの…どんなに望まれなくても…私は産みたい… 真那白は、母さんが子供の父親に選んだフェイクだった。 世間の目から、子供を守るために… 真那白は、お腹の子の父親が僕であることを、知らない。 *********** 僕の通う学校は、私立のミッション系の高校だ。 校舎の敷地内に古びた教会があって、日曜日には近所の人も集まってミサも開かれたりする。 「マグダラのマリア?」 図書委員の山田が眉を潜めた。 「歴史の宿題なんだ。キリスト教に纏わる人物を調べてこいって」 「ふうん。」 山田は眼鏡を押し上げて、カウンターのパソコンに向かった。 図書室は静かでいい。
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