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3月に入り、そろそろ暖かくなってきた。
それでも、たまに吹く風はまだ冷たい。
そんな季節。
「今日は風強いなぁ…」
『寒いん?』
冷たい風が髪を揺らす。
小さく震えた相手を見て優しく手を握る。
「…手ぇ温いなぁ」
『お前がが冷たいねん』
笑いながら優しく手を擦り合わせた。
自分の手より一回りくらい小さな手。
女の子みたいに小さなこの手で、あのパワフルなギターを弾いてると思うとやっぱり凄い…。
「なぁ?」
『…ん?なに?』
「ぼーってしてたし」
冷たい手が、頬に触れた。めっちゃ背伸びしてる所が可愛いなぁ。
なんて思って。思わず、人の目も気にせず抱き締めた。
『家帰ろう?寒いし』
「…せやね」
冷たい風も、アナタと一緒なら大丈夫。
二人で手を繋ごう。
そうすれば、あったかい。
*
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