とんとんバス

とんとんバス第1駅～父親～

座席に着いて一息つくと、昨日の出来事が浮かんできた。
娘がパソコンを買ってくれと言ってきたのだ。
もちろん断る理由などないのだが、携帯だけで事は足りるのではないかと私は思う。
なぜパソコンが欲しいのかと理由を聞いても答えてはくれず、最近仕事でストレスが溜まっていたせいもあって娘と喧嘩をしてしまった。
妻はどちらかといえば私の意見に賛成みたいだったが、一人娘の願いはなるべく叶えてやりたいみたいだ。

私だって可愛い一人娘の願いならパソコン程度を買ってあげるのは吝かではないが、もう中学2年生になったので、ある程度は物事を考えてから行動に移す考えを持ってほしいとも思う。

娘のことだからその程度のことは既に考えているのだろうが、買ってほしい理由を私に話せないとなると、また話は変わる。

正直に言って私は娘の考えが分からない事が多い。
世の中の父親は大抵そうなのだろうが、思春期ともなると尚更だ。

もちろん信じているが、一抹の不安までは拭いきれないと言うのが事実。

気が付くとバスは発進していた。