老人と赤い木の実

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菜の花の季節、特に思い入れのない卒業生を見送ってから早1カ月。 季節はあっという間に薄紅色の花を満開にさせる季節がやってきた。 でも、何かもうアスファルトに花びら落ちてるんですけど……。 かくも儚きかな……。 この春、僕は高校2年になった。 って言うか今日はその初登校の日で今はその帰り道な訳だけれど。 そんな事を考えている最中ケータイが鳴りだした。 サブディスプレイを見ると、…………七瀬だった。 『ちょっと薫~? 今日分かってんでしょうね~。蒼(アオイ)姉ちゃんが私たちの為に進級祝いしてくれるんだから~』 「分かってるよ。ちゃんとお菓子とかつまみとか買って帰るから心配しないで――。じゃあ」 そんな些細なやり取りをして電話を切った。 さっきの電話の相手は隣の家に住む幼なじみの桜庭 七瀬(サクラバ ナナセ)だ。 七瀬とは家が隣同士で且つ、同い年という事で小さい頃からよく七瀬がうちに遊びに来ていた。 ……と、ここまでは幼なじみとしてはよくありがちな話だろう。 だが僕にとってはそれがとんでもなく災いしている。 何故なら七瀬はただ遊びにくるだけではない。
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