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「明日‥時間あるか?」
「え!?‥あ、うん‥へ?」
土方さんの視線に気づかず、不意に尋ねられた私は間抜けな返事をしてしまった。
土方さんは頭を掻きながら、言いにくそうに言葉を続けた。
「‥近藤さんがここ数日働きっぱなしだから、休めと言われたんだ。本当なら休んでいる暇はないんだが。
‥姉さんと彦五郎さんのところに行こうと思うんだが、ついて来てくれないか」
「私が行ってもいいなら‥」
今のこの状態でおのぶさんや彦五郎さんに会うのは、微妙な感じがする。
でも、会いたいというのも私の気持ちだ。
控えめな土方さんの言い方が移り、私も素直に言えず嫌な言い方をしてしまった。
「‥そうか。そしたら今から寝ておけ。今日の夜にでも出ようと思っている」
「よっ夜!?」
前に行った時は、太陽が出ていない早朝だったけど。
今度は夜かあ。
しっかり寝て、前みたいに土方さんに迷惑かけないようにしよう。
「じゃあ、俺は今から出てくる」
「え?土方さんは寝ないんですか?」
「本当は休みをもらうほど暇じゃないからな。出来る仕事は今のうちにやっておきたいんだよ」
そう言ってから、土方さんは部屋から出ていってしまった。
部屋に一人。寝る間も惜しんで頑張っている土方さんを見ている私は、胸が塞がる。
土方さんがタフなのは知っている。
だからこそ心配だった。
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