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土方さんは、汚いような仕事も黙ってこなす。
同じように、無理をしていても誰にも言わない。
立場上と今の戦況じゃあしょうがないんだけど‥目の下の隈が、土方さんが無理をしていることを現している。
「誰かに相談してみようかな」
近藤さんは旧幕府のお偉い方の所へ行っている。
総司君は、今は寝ている。
あと、江戸からの‥試衛館からの仲で、土方さんをよく知っている人といえば、あの2人しかいない。
「土方さんが無理をしているのは、俺達にもわかる」
「だよなあ。ありゃもう、気力だけで体で動かしてるぜ」
私は永倉さんと左之さんに相談してみた。
やっぱり、誰から見てもわかるくらい土方さんは無理をしてるんだ。
「今日の夜から、おのぶさんと彦五郎さんのところへ行くんだけど‥行くべきかわからなくて」
「まあ、せっかくの休み。少しでも寝てほしいってのが、誠の考えだろ?」
「うん」
左之さんは私の考えをわかっていて、腕を組みながら何やら考えている。
永倉さんは、じっと私を見ていた。
「誠。俺は、行くべきだと思うぞ。
土方さんは恐らく、無理をしてでも誠と行きたい理由があるのだろう」
永倉さんは、私の目をじっと見ながら言った。
何と言うか、心を見透かしているような目で。
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