―洋装一新―

4/43
前へ
/467ページ
次へ
土方さんは、汚いような仕事も黙ってこなす。 同じように、無理をしていても誰にも言わない。 立場上と今の戦況じゃあしょうがないんだけど‥目の下の隈が、土方さんが無理をしていることを現している。 「誰かに相談してみようかな」 近藤さんは旧幕府のお偉い方の所へ行っている。 総司君は、今は寝ている。 あと、江戸からの‥試衛館からの仲で、土方さんをよく知っている人といえば、あの2人しかいない。 「土方さんが無理をしているのは、俺達にもわかる」 「だよなあ。ありゃもう、気力だけで体で動かしてるぜ」 私は永倉さんと左之さんに相談してみた。 やっぱり、誰から見てもわかるくらい土方さんは無理をしてるんだ。 「今日の夜から、おのぶさんと彦五郎さんのところへ行くんだけど‥行くべきかわからなくて」 「まあ、せっかくの休み。少しでも寝てほしいってのが、誠の考えだろ?」 「うん」 左之さんは私の考えをわかっていて、腕を組みながら何やら考えている。 永倉さんは、じっと私を見ていた。 「誠。俺は、行くべきだと思うぞ。 土方さんは恐らく、無理をしてでも誠と行きたい理由があるのだろう」 永倉さんは、私の目をじっと見ながら言った。 何と言うか、心を見透かしているような目で。
/467ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3151人が本棚に入れています
本棚に追加