―鳥羽伏見―

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その時、微かに何かの音が聞こえた。 「――伏せろっ!!」 土方さんの声で、その場にいたみんなが一斉に伏せる。 咄嗟に伏せる事が出来なかった私は、土方さんに肩を持たれ何とか伏せることが出来た。 その瞬間、パンッと渇いた銃声が一発だけ鳴り響いた。 その銃声の音に、私は思わず耳を塞いでしまう。 「なんだ?挑発か?」 「恐らくな。いいか、向こうは俺達が攻撃を仕掛けてくるのを待っているはずだ。 まだ手は出すなよ。 斎藤、こいつを一番安全なところに連れてけ。それから、源さん達を呼んできてくれ」 「‥‥承知」 土方さんは的確に指示を出し、敵の動きの様子を伺う。 一君に腕を引かれ、私は土方さんから離れる。 この戦で土方さんやみんなが死なないということは分かっている。 だけど離れることが不安でしょうがなくて‥。 「土方さん‥っ」 私は思わず、名前を呼んでしまった。 「お前は黙って護られてろ」 土方さんは振り向くことなく、感情を押し殺したような声で言った。
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