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意味が在るのだろうか…。 この青年には何も無い。護るものすら無い。この先の俺の道は無い。光も差し込まない。只、無駄に時間を浪費して往くばかりに他ならない。 曲の調子が強く大きくなった。その刹那、青年に或る真理が電光石火の如く閃いた。運命が俺とアイツを引き合わせたのは理由が在るのかも知れない。俺もアイツと同じ様に“ヒカリ”になれば善いと…。自分自身を極めてみたいと…。ヴェートーベンの運命に惹き寄せられた青年の魂は三途の川より生還したみた様な顔附きになっていただろう。 そして、曲が終わった。十五分休憩に突入したので、青年は用を足しに出た。因みに頻りに気になって居たご友人の青年は全くの別人でした。
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