トアル隊士ノ憂鬱

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俺は泣く子も黙る剣客集団・新撰組の一隊士だ。 偉いお役目についてるわけでも、何かに特別秀でているわけでもない。所謂ただの平隊士。 だから名は名乗らない。 どうせ誰も覚えないし。 「城ヶ崎さああああんんんんんんん!!!」 ああ、このやかましい声も聞き慣れたよ。新撰組唯一の女隊士であり鬼の副長付き小姓、下山美緒。 「城ヶ崎さああああああああああんんん!!! きさがうょじさああああああああんんんんん!!!!!」 逆さに読まれて返事する奴なんかいねーよ。分かっちゃいるがうるさい女だな。本当に女か? 女はもっとつつましくて控えめで、こんなにやかましくないもんだろ? 「ジェーイ! ワーイ! オーウ! ジーイ! エーイ! 以下略城ヶ崎さあああああああん!!!!」 時々意味の分からないこと叫んでるし。なんだ?じぇい?気合いでもいれてんのか? 「じょうが…………あ! いたいた!!」 近頃上達してきたみたいだけど剣術もてんで駄目な奴を何で局長は新撰組にいれたんだか…………。 「城ヶ崎さぁーん」 「みぃぃぃーつけたwwwwww」 「……………え?」 振り向くと、下山がにやにやと下品な笑みを浮かべながら俺の袖を掴んでいた。
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