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まだ寒い日が続いている1月20の朝。
突然話を切り出された。
「ごめん。他に好きな人ができた。別れてくれ。お前に親権は渡すし、養育費もちゃんと払うから。これ俺の分は書いたから、後はお前が書いて出しといて」
そう言って夫の剛(つよし)は、離婚届を美紅(みく)に渡した。
「えっ?ちょっと待ってよ。急にそんなこと言われても」
「とにかく俺はここから出てく。荷物は後で取りにくるから。今までありがとう。元気でな」
「そんな。待って。杏里と私には剛しかいないのに。ねえ、お願い。考え直して」
美紅は剛の腕にすがりついた。
「ごめん。また連絡するから」
と剛は言って強引に美紅を振りほどき、狭いアパートから出て行った。
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