ドウ・ビイ・フォビアの悪夢

1.泣かないでと言った時から

珍しく、山手線が一時間ほど運行停止をした。私は気にせず池袋で降りてそのままサンシャインシティにまで出る。

改札を出るとき、ほとんどの人が駅員さんに文句を言っていたけれど、私は、そういうのってすごく恥ずかしいことだなって思う。

本当に急がなくちゃならないことなら、走ってでも向かえばいいのに。止まってしまった事は仕方ないもの。

そんなところで無駄に時間を使うなら、少しでも進んでいたほうがいい。

タイル張りの床を一歩一歩踏みしめて、私は歩くよ。
一昨日買ったピンクのカーディガン。
男女共通の赤いネクタイ。
白と黒のしましまマフラー。
少し短めのスカート。

不思議の国のアリスがモチーフになってる、アドベンチャー・ガールのリュックサック。

完璧な装備のまま、私は階段を上がってゆく。