ドウ・ビイ・フォビアの悪夢

1.泣かないでと言った時から

外に出てみれば、どうってことないただの喧騒の町並み。
駅ナカとただ一つ違うのは、ビル風があまりにも強いってことだけ。

「お、きみ可愛いね？いくつ？」

「メガネレンズ安くなっておりまーす！」

「やっだ、まじでー！絶対それ浮気だって！」

「我々人類は大切な約束を忘れている！北方領土の返還を！」

「ぜひお試しくださーい。」

ただ歩くだけで、私とは関係のない会話が耳に入りこんで来るほどこの池袋という街は狭い。
きっとだから皆イヤホンやヘッドホンを愛してしまうのだ。
誰の言葉だったか、ヘッドホンをするのは音楽を聴くためじゃない、世界の音を聴かない為だって。

私もそう思う。