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「今日は…あまり多くないな…」 家の前に着くと、彼は呟いた。 いつも通り… いつも通りの日常… 森の生物達を殺め、食す。 喰わなきゃ、喰われるのだ。 私達はそうしないと生きていけない。先祖代々、言い伝えられてきたのだ。 私達の文明は劣っている…。 外に出れば、より高い文明が存在するというのに。 しかし、私達の先祖は高い文明を持つ彼らを嫌ってきた。穢らわしい生き物である、互いに殺し合い、自分の利益を優先させる醜い生き物だと言ってきた。 しかし、いま私達がしていることも彼らがしていることも同じではないか? 同じ森に生きる多生物を殺め、自分の生きる糧としていく…。 カズキは、自分の生きる世界に矛盾を感じていた。
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