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泣くな、泣くな、絶対泣くな。
百泣きピエロがやってくる。
涙を求めてやってくる。
泣くな、泣くな、絶対泣くな。
百泣きピエロがやってくる。
────私が子供の頃、よくこの遊びをした。
確か…鬼ごっこやかくれんぼの合体版みたいな遊びだった気がする。
今でいう隠れ鬼ごっこみたいな。
その遊びの名前は『百泣き鬼ごっこ』
隠れて、鬼に見つかったら逃げるという、単純明解、簡単な遊び。
しかし、百泣き鬼ごっこには隠れ鬼ごっこに加え、何か特別なルールがあったはずなのだが…。
……私、赤澤茜(アカザワ アカネ)は今、その百泣き鬼ごっこの特別ルールを思い出せずにいた。
「なぁんだったかなぁ…」
「何が」
思い出せずもがき苦しんでいた私に、前の席に座っていた青山清一郎(アオヤマ セイイチロウ)が振り向く。
独り言だから一々反応しなくていいのに。
コイツ、青山は色んな事に過敏に反応して、関係ない話にも首を突っ込んでくるから嫌いだ。
顔が良くてモテるからか知らないけど、やたらと女の子と絡もうとするところが気持ち悪い。
「何よ青山、アンタに関係ないから」
「何だよツレないなぁ茜」
青山はそう言って私の頭を撫でてきやがった。
効果音で表すならば"ナデナデ"。虫酸が走る。
私はその手を嫌悪感丸出しの顔をしながら即座に叩き落とし、極限に気持ち悪さを込めた目で青山を見た。
青山はそれに懲りずニヤニヤと笑ってるから気に入らない。
私、本当にコイツ嫌い。存在が気持ち悪い。
しかも、当たり前のように下の名前で呼んでくるから尚更嫌い。
コイツを見てると"親しみやすい"と"馴れ馴れしい"は紙一重だと思うよ。
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