第一章

9/25
前へ
/34ページ
次へ
「いくぜぇ!!」 「かかってこいやぁ!!」 また二人が同じ技を繰り出そうとしたときにチャイムが鳴り、それと同時に教室の扉が開いた。 しかし見たところ誰もいない。 「皆の者、おはよう!!……ってまた霧島と狼牙か…」 何処からかした声は呆れているようだ。 「おい影、今声が聞こえなかったか?」 「俺も聞こえた。しかし扉の前にだれもいないぞ?」 「下だ下!!…まったく教師を馬鹿にしおって……」 影人と隼人は扉の下を見ると明らかに生徒より背が低い女性がミニサイズの白衣身につけ仁王立ちしていた。 「よーチビ乃ちゃん」 「チビは余計だっ!!」 チビ乃て呼ばれた教師(?)は手を前にかざした。 すると手の前に小さな火の玉が2、3個現れ、次々と隼人に襲い掛かった。 そして見事火の玉は隼人に当たり、制服のワイシャツが着火した。 「ウワチッ!!アチッ!!アッチ!!」 隼人はワイシャツを叩きながら教室を駆け回っている。 クラスの人達はそれを見て笑っている。 「ふんっいい気味じゃ」 「教師があんなことやっていいのかよ……」 「何か言ったか霧島?」 「いえ、何でもないですよ、璃乃先生っ」 「早乙女先生と呼べっ!!―――はぁ…もういい、皆席に着け。」 朝から溜め息まじりに指示をだしているこの人は早乙女璃乃(サオトメリノ)。 影人達のクラスの担任である。 また、ギルドでは[連撃の魔術師]と呼ばれ、凄腕の人でもある。 生徒が席に着くと璃乃は教卓の後ろを指差した。 するとそこにみかん箱が2つ現れ、璃乃はその箱を台にして教卓の後ろに立つ。 …そうしないと教卓で体が隠れてしまうからだ。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加