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静かな病室。
ベッドの上の少年が、退屈そうに空を眺めている。
「体調はどう?」
傍でりんごを剥いている母が尋ねる。
「別になんともないよ。」
「そう…。」
静かな病室で、時々交わされる会話。
少年はまた空を眺める。
不意に少年は、ハッとした顔をし、母親の方を見る。
「お母さん!!今何時?!」
「え?えっと…、八時よ。」
「テレビ見ないと!!」
少年はテレビを点ける。
「今日はねぇ、江頭が出るんだぁ!」
「そうなの。良かったわね。」
母親は、江頭が嫌いだった。
汚くて、下ネタばかりで…。息子はどうしてこんな男のファンなのだろうか。
「フフフ。お母さん!面白いねぇ♪」
「そうね。」
それでも息子の笑顔が見れる。それだけで良かった。
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