第二話

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病室。 母親は相変わらずりんごを剥いている。 「お母さん。そのりんご、もう剥けてるよ?」 既に皮の無いりんごを何度も剥き続ける母に、少年はそう言った。 「あ、…うん」 少年は母親の異変に気付き始めていた。 病室はまた静寂な空気を漂わせる。 母親は、りんごと包丁を置き、大きく深呼吸した。 「…落ち着いて聞いてね。あなたは……… ぅおおおおおおお!!!!!!!!!!!! 「ちょっと?!あなた何なんですか?!」 廊下から奇声と、看護婦さんの叫び声が聞こえてくる。 ぅおおおおおおお!!!!!!! 少年の病室に上半身裸の男が突っ込んでくる。 「…え、江頭?!」 少年は驚いた顔で呟く。 おぉぉい!! 母親の前に江頭は立ち、小さく指差した。 「どうも、初めましてお母さん!!」 「…。」 嫌いな男の登場、しかしまさか来るなんて…。母親は言う言葉が見つからなかった。 「おぉぉいクソガキ!!俺はな!!忙しいんだよ!!!!!!」 母親は目を丸くする。 「俺は寝るぞぅうう!!!!!」 そう言って、隣のベッドへ横向きに思い切り飛び降りる。 バリバリバリ!!ドンっ!!
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