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病室。
母親は相変わらずりんごを剥いている。
「お母さん。そのりんご、もう剥けてるよ?」
既に皮の無いりんごを何度も剥き続ける母に、少年はそう言った。
「あ、…うん」
少年は母親の異変に気付き始めていた。
病室はまた静寂な空気を漂わせる。
母親は、りんごと包丁を置き、大きく深呼吸した。
「…落ち着いて聞いてね。あなたは………
ぅおおおおおおお!!!!!!!!!!!!
「ちょっと?!あなた何なんですか?!」
廊下から奇声と、看護婦さんの叫び声が聞こえてくる。
ぅおおおおおおお!!!!!!!
少年の病室に上半身裸の男が突っ込んでくる。
「…え、江頭?!」
少年は驚いた顔で呟く。
おぉぉい!!
母親の前に江頭は立ち、小さく指差した。
「どうも、初めましてお母さん!!」
「…。」
嫌いな男の登場、しかしまさか来るなんて…。母親は言う言葉が見つからなかった。
「おぉぉいクソガキ!!俺はな!!忙しいんだよ!!!!!!」
母親は目を丸くする。
「俺は寝るぞぅうう!!!!!」
そう言って、隣のベッドへ横向きに思い切り飛び降りる。
バリバリバリ!!ドンっ!!
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