第二話

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ベッドが真っ二つに割れる。 母親はもう訳が分からない。 看護婦さんは江頭を止めにかかるが、暴走は止まらない。 得意の江頭倒立をしている。 「あなた!!いい加減にしなさい!!警察を呼びますよ?!」 婦長だ。 「なんだこの野郎っ!」 江頭が婦長に詰め寄る。 「な、何よ?」 そして江頭は………… タイツを脱いだ。 「きゃー!!!!!!」 大きな悲鳴。 もう母親は倒れそうだった。 「…フフフ。」 息子が笑っている。 この大惨事の中なぜ?! 「エガちゃん…やりすぎだよぉ……フフ」 少年の声は擦れてくる。 「……ありがとぅ………」 少年は静かに目を閉じる。 母は崩れ落ちてしまう。 「ぅおおおおおおおぃぃ!!!!!クソガキ!!!!!寝てんじゃねぇよ!!」 「あなた!本当に止め……」 婦長が言おうとした台詞を飲み込んでしまった。 「ねるな?な、寝るなよ?」 ベッドの上の少年に語り掛ける江頭。 もう返事はない。 ぅおおおおおおおぃぃぃ死ぬな!!!死ぬんじゃねぇ……!! 江頭は顔をクシャクシャにして大粒の涙を流しながら少年の手を握り締め、いつまでも叫び続けていた。 もう江頭を止める人は一人もいなかった。
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